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第六十八回 198X年12月20日
翌日から、僕は、中華料理店のアルバイトのあと、深夜から朝まで、コンビニエンスストアのアルバイトをすることにした。 朝、11時から中華料理屋で働き、3時から5時までの中休みの間、アパートに戻った。 絵は一度も描かなかった。 5時半から10時まで、皿洗いをしたあと、深夜1時から朝の7時まで、コンビニエンスストアで働く…という毎日が続いた。 眠る時間が殆どなかったが、布団に入っても少しも眠くならなかったので、何の問題も無かった。 それでも、頭は冴え渡っていたし、食欲も旺盛だった。 中華料理店のおかみさんからは、アンタ、ずいぶん明るくなったね、と言われた。 

ヨウのことは、時々思い出した。
「…あなたは何にも分かっていない…」
と、ヨウが泣きながら僕に投げた言葉を、その度に僕は何度も反芻した。

あの時、ヨウはもう、いっぱいいっぱいだったんだと思った。

そうして1ヶ月くらいが過ぎたある日、突然、どうにもならなくなった。
まず最初に、空いた八宝菜の皿をカウンターまで運ぶ途中に手が滑った。 あっと思い、下げた目線の先で皿が粉々に砕け、欠片のひとつひとつが飛び散っていくのが見えた。 そして、それと同時に皿の割れる音が耳に飛び込み、その音はいつまでも僕の耳の奥で大きく反響した。 折れた桜の木が頭に現れ、続いて倒れたカツミの姿が浮かんだ。 僕は、飛び散った皿の欠片を拾おうと手を伸ばした。 しかし、どれだけ手を伸ばしても、身体はピクリとも動かない。 そればかりか、急に息苦しくなり、自分のはぁはぁという息づかいを聞きながら、自分自身がこの身体から離れていってしまったように感じた。 唾液が口のなかで粘ついていて、やがて目の前が真っ暗になり、それきり何も分からなくなった。
| 西岡宏輝 | 08:11 | comments(0) | - | pookmark |
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